「皇統の危機」3 一阿の言の葉 84話

去る三月二十七日、「私は昭和二十年十月ベトナムで生まれました。」と桜井よしこさんは話し始められました。「皇位継承の危機いまだ去らず」の出版記念会です。東京プリンスホテル、桜は五分咲きで増上寺の向こうに東京タワーが見えました。

皆さんは憲兵と言うと、善良な市民を苛める酷い人というイメージがあるかも知れませんが、私たち親子にとっては決してそうではありませんでした。私はまだ一才です。何も分かりません。復員船は引き揚げの人で溢れ返り、疫病が流行り、食べ物も水も無く大変な状態でした。悲しいもので人々は食料を奪いあい、喧嘩や争奪が繰り返されました。そのたびごとにに仲裁に入り、揉め事を収め、自分の食料まで人々に分けてくれたのは憲兵さんでした。このことは私が大きくなってから母がよく話して聞かせてくれました。

私はハワイ大学の歴史学部を出ました。大学には64ケ国の学生がいましたが、あるとき自国の誇りと民族の特徴と歴史を話すと言う催しがありました。日本から来た学生は特に皇室について話して下さいということでした。

「困った」「困った」。日本人学生が寄り集まって相談しました。何を話して良いか分からない。日本では一切皇室について教えてもらったことがない。日本の歴史も国の誇りについても教えてもらったことがない。そこで私は自分で調べ始めたのです。そして初めて神代からの我が国の歴史と、皇室の尊さ、万世一系の皇統が世界で我が国だけが持っている誇りであることを知りました。私はハワイ大学時代に始めて日本人という意識を持ちました。

これはどうも日本のやり方がおかしい。教育方針が何処か間違っている。外国の、日本を除く63ケ国の学生は、自国がどんなに経済力が無くても、軍事力が無くても我々はこういう国だという誇りを教えてもらっている。歴史の浅い米国でさへも我々はどういう国かを、そして誇りを丁寧に教えてもらっている。

日本だけが、歴史とう独立した科目が無く、社会と公民の中の一科目として教えられている。
そして、日本人だけが自国に誇りを持っていない。

(続く)

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