【吉田茂の後悔】一阿の言の葉 第6話

先ほど申し上げた海上幕僚長も私と同じ83歳(現在97歳)ですが、その当時は20才台の青年でした。
私は吉田茂を「あの男をみなは戦後政治の神様のように言うが、あれほどの軍隊嫌いはいない。
またマッカーサーもそれを見込んで首相に据えたのだが、あの時(講和)本当の軍隊を創っておれば、
今のような体たらくにはなっていない。」

それに「大体、軍隊のない国なんてものは地球上に存在しない。
昔から外交のことを樽俎折衝(そんそせっしょう)というが、折衝は敵の戦車の角を折ること。
樽俎は酒を酌み交わすことだ。
(春秋戦国時代<支那>の戦車は先がとんがっていて、この堅牢な角で敵の兵馬をやっつけるようにできていた)
日本は樽俎ばかりやっていて折衝をやった試しがない。
こんなものは外交とは言わんのだよ。まず折衝をやらなけりゃあ」 
彼は言ったものです。
「わしがまだ若い隊員だった頃、吉田茂が最後に首相退任の挨拶に来て、<わしの唯一の悔やみと間違いは、この国に軍隊を創らなかったことだ。
あくまで自衛隊にとどめて防衛をアメリカに依存したことだ。だが諸君どうぞこれからの日本の防衛をよろしく頼む。>
とあの傲慢な男が、真剣に頭を下げた。」と。

(続く)

一阿のYouTubeチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ichia369/videos


タイトルとURLをコピーしました