「皇統の危機」5 一阿の言の葉 86話

皇統は2670年続いてきました。皇室中心の日本の国は、現在生きている我々だけでなく、父祖から引継ぎ子に孫に伝えて行くべきものです。

それを戦後わずか65年という短い時間で、欧米式の民主主義や中国共産党の共産主義に潜在意識の底まで入れ替えられた頭の良い人たちが、捨て去ってしまおうとしているのです。

「捨てるぞ」とは言いません。日本人の顔をしているのですから、誰にも分かりません。実に巧妙に日本を褒め、日本民族を誇りながら、皇室を疎んじ、理性的に冷静に歴史を分析すると称して、大和の国の成り立ちが、暴君と豪族の権力争いに明け暮れたかのように、教え込んで行くのです。

何時だったか、孫に歴史の本を買ってやろうとして、「漫画日本の歴史」と言うのを見て、びっくりしました。日本の天皇は皆暴君のように書いてあるのです。そのために国民は大変貧しいのです。流石にこの本は孫には送らずに、爺さんが昔の話は教えてあげることにしました。有名な出版社です。悪気はないのです。誰も祖国を潰そうなんて思ってはおりません。然し一日一日がその方向にむかっている事だけは確かです。

漱石は「智にはたらけば角がたつ、情に棹させば流される、意地を徹せば窮屈だ。」と上手いことを言いました。智、情、意。もう一つあります。真、善、美。誰も文句はありません。然しこの分類方法は独逸哲学から来ています。日本には日本のものの考え方があります。小林秀雄は勿論このことには気づいていました。

だから畢生の大作「本居宣長」を書きました。中村真一郎や加藤周一も例外ではありません。戦前の旧制高校の学生は語学に専念しながらこのことに思いを致しました。「国文学会」「世代」の仲間たちもその一つです。戦前は立派な保守の思想や歴史観や文学がありました。国家と言うものがあったのです。

進駐軍は始めから教育制度を6、3、3制にする計画をもっていました。そして新仮名使いと言う不思議な仮名使いをはじめました。そして本当に日本の歴史や国体の分かる佳い本を東大の左翼の教授の力を借りながら、焼いてしまうのです。焚書の刑です。国語には国の歴史と物の考え方が溶け込んでいます。

話が妙なところに飛びましたが、大切なことを決めるときに、人間の理性という「不完全なもの」の考え方だけで決めてはいけないと「言うことです。まして魂を込めて先祖が営々と築いてこられた日本の二千六百七十年の歴史と、世界に誇れる万世一系の皇統を、頭の先だけで判断して良い訳がありません。」

米国は基より、中国共産党は日本の皇室を尊敬するどころか、巧妙に破壊しようとしていることは、明らかです。米国は大東亜戦争でイヤと言うほど日本人の天皇陛下に対するこころを知っています。中国はどうしても日本列島を突き抜けなければ太平洋へ出られません。日本と言う国は頭痛の種です。九太郎さんが委しく述べられた通りです。日本は明治37年当時の、日露戦争前夜と非常に良く似た状態にあります。

しかもあの時は、国民は臥薪嘗胆しながら、何とか国富と国力を欧米並みに上げようと必死でした。時々無責任な評論家が現状を明治維新と同じだと分析します。とんでもない話です。あの時は未だ我が国に武士道も万世一系の皇統に対する忠義の念が国民全体に残っていました。今はどうでしょう。

(続く)

2010年05月27日

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