海軍に山梨勝之進という大将がおられました。
(かってこのブログに投稿された吉田 学 元海幕長は山梨大将に仕へました)。
山梨大将は戦後学習院の院長でした。
例のヴァイニング夫人が皇太子の語学の先生兼養育係りとして、勢い込んで日本にやってきたことが有ります。
彼女は封建的な日本の王子に、アメリカ式の民主主義を教え込もうと、勢い込んでやってきました。
然し彼女が本国へ帰るとき、山梨勝之進に心服して「私は傲慢であった」と反省し、すっかり日本ファンになって帰って行くのです。
山梨さんは又シェクスピアの研究家でしたが、戦後英国の海軍士官に本国に帰ったら、シェクスピアの小説のある個所を指して「ここのところを専門家に聞いて下さい」と托しました。
その士官は、たかが軍人が何を言うのか、 程度にしか考えていませんでした。
ところが本国で聞いてみると、その個所は世界のシェクスピア研究家の最大の謎の部分であったのす。明治以来昭和20年まで軍と政治家、官僚は同じ知識レベルにあり能力的にも国家の両輪として不可欠であったのです。
戦勝国はこの珍しいくらい美しく強く不思議な国を崩壊させるために、軍をつぶしにかかったのです。平和の名のもとに。
そしてあらゆる罪を日本の軍隊に押しつけるのです。
軍の車輪を外すと、左へ左へ廻るのは必然です。
それからマルクス・・これは難しい問題ですが、人々は直感的にマルクスは弱者貧者の味方 という考えを持っています。
マルクスのベルリン大学の卒業論文は「人間の幸福について」と言ふものです。
彼も人間の幸せについて真剣に考えているのです。
ただその方法論が人間にとって、特に日本の土壌にとって決定的に合わないのです。
マルクスが最も嫌うのは空想的社会主義、観念的社会主義です。
大学の講義では「キャピタル」を決して「資本」とは言わず「資本力」と訳していました。階級闘争の理論は厳しいもので、知識人が考えているような頭 の先の理論ではありません。
資本主義社会に対して、武装された闘争なのです。
それから信仰に対する考え方。
神や仏に対する人間本来の念を徹底的に唾棄します。
これこそ資本主義社会の麻薬だと言います。
蟹工船を読んで共産主義に共感を覚える態の浅はかな世界ではないのです。
私の親しい知友は二人とも転向しましたが、一人は「民共」の大親分、一人は「全学連」の創始者でした。
不思議に極めて裕福であり、最高学歴をもっていました。
転向した理由は組織内部の非人間性に絶望したからです。
それから、日本人の西欧に対する劣等感。
明治時代からハイカラさんと言う言葉ででも分かるように欧米に対して何か劣等感を持っていました。
この劣等感はマルクスにもあったという人があります。
つまり日本の識者と言われる人たちのプライドの裏返しの劣等感とマルクスの複雑な劣等感が一致するという人があります。
後は流行。女性がセリーヌやティファニーに憧れるように時代に遅れまいとする流行と言う心理です。
我々が大学時代の会話は「資本論を読んだか」でしたし
「毛沢東語録を読んだか」が挨拶でした。
馬鹿馬鹿しいことですが、わら半紙に印刷された左翼記事で満載の
「世界」を並んで買ったものです。
そして小泉信三の著書「マルクス死後五十年」を軽蔑したのです。
昭和21年から24年の頃です。そして50年も経つと小泉信三の言うことの方が
正しいのです。
日本をここまで誤導してきた識者と言われる人間を一阿は国賊と思っています。
(ふとした思い出 了)
2010年04月13日
一阿のYouTubeチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ichia369/videos