【てふてふのこと2】一阿の言の葉 第61話

昭和27年内閣官房長官名で各省庁次官宛に依命通知された「公用文作成の要領」は、ずっとその統制色が引きずられ、今日なお日本国国語を劣化させつづけております。

この文語調禁止は国語の連綿性を無視する、戦前的なるものを絞め殺すイデオロギー政策の一環なのです。
文語助動詞の生き残り「べし」について、連体形の「べき」は使ってもよいが、「べく」と「べし」は使ってはいけないと言う一項があります。
それでは「文語調の表現はなるべくやめて・・・」の「なるべく」も「べく」のうちだろうと言いたくなります。

この悪影響はメディアの用字用語におよび、国民に浸透していることが怖いのです。
これでは「灯火親しむべし」と言うことわざも使えなくなってしまいます。

ただ救いなのは、お上がいかに禁じても、文語語彙がある日を境に国語から一斉に無くならないと言うことです。
国語にはいつの世でも、口語、新語、俗語などとと もにまだら模様に文語が残っているのです。

「よしあし」は文語の形容詞「よし」と「あし」を並べて名詞化したもので、口語脈でも「よしあし」だし、「悪しき慣例」も決して「悪しい慣例」とはいいません。
「出で湯」 は現代口語でも「デユ」とはならず「いでゆ」です。
「生ける」は「生け花」・「生け簀」・「生け贄」などに温存されており、どだい文語つぶしなど出来ない相談なのだが、昭和二十年八月十五日を境にして日本を好きになれないイデオロギーを持った人達が、文語は軍国主義と称して用語制限、用字制限、のみならず 文体制限にまで網を広げているのです。

先日、路上の古本屋で百円で手に入れた、「尋常小学国史 下巻」がここにあります。
私は 昭和八年に尋常小学校に入りましたから、この本は使っていません。
しかしすぐニ、三年前まではこの本を使っていたのではないでしょうか。

大正十年十二月二 十五日翻刻発行 文部省とあります。
文語体で書かれています。
目録だけを挙げておきます。小学校六年生です。
今の小学校の六年生の近現代史の知識がどのくらいあるか分かりませんが、今では考えられないくらい国体がしっかりしていました。
日本は戦争に負けたのです。

目録 第三十三  織田信長
    第三十四  豊臣秀吉   第三十五  同
    第三十六  徳川家康   第三十七  同
    第三十八  徳川家光 
    第三十九  後光明天皇 
    第四十    徳川光圀
    第四十一  大石良男
    第四十二  新井白石
    第四十三  徳川吉宗
    第四十四  松平定信
    第四十五  本居宣長
    第四十六  高山彦九郎と蒲生君平
    第四十七  攘夷と開港   第四十八  攘夷と開港
    第四十九  孝明天皇
    第五十    武家政治の終
    第五十一  明治天皇 一明治維新 二西南の役 三憲法発布

四明治二十七八年戦役


            五条約改正 六明治三十七八年戦役 七韓国 併合 

八天皇の崩御


    第五十ニ  今上天皇  一天皇の即位 二欧州の大戦と我が国

・・・・    以上



明日は本居宣長と韓国併合のところだけ、原文のまま載せます。
約80年前の日本国民がいかに誇りに満ち、国体がしっかりしていたかが分かります。
日本は戦いに負けたのです。今の状態は普通ではないのです。
いかに異常かは小学校の六年生の国史の本を見れば分かります。
今は国史なんて言う言葉も死語になっているかも知れません。

日本の近現代史を子供に教えないと言うこと自体が異常なのです。
かっての敵国と日本の国よりも自分の属するイデオオギーの方を重んずる人達、日教組によっていかにこの国の教育が捻じ曲げられたかがわかります。
明日載せる一行だけを書きます。
「・・・かくて半島の民はことごとく帝国の臣民となり、東洋平和の基はいよいよ固くなれり。」

その彼らが自らの力で今日あると錯覚して、我が国にやってきてはしたい放題をし、
嫉妬の 裏返しを実行しているのです。「友愛」の声に迎えられて。

三浦朱門の言葉を載せます。
「だから宿命なんです。日本が近代化を目指し、アジア的文明から
テイクオフ(離陸)しよ うとした時、彼等は中華文明にどっぷり浸かって近代化に関心を向けず、
しかもヨーロッパの列強の植民地政策にも危機感を持たなかった。 
中華人民共和国や朝鮮民主主義人民共和国の共和国や民主主義、人民など彼等が使う近代用語にしても、その大半は欧州語から翻訳した日本製漢語。
彼らは、日本抜きに、西洋を理解し近代化することは出来なかったというわけですよ。」


一阿のYouTubeチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ichia369/videos

タイトルとURLをコピーしました