美しい心を持ち、勇敢で、地球を汚さず、自然と共に生きた、見事な民族ですが、
この民族 は今は地球上に存在しません。
一神教を信ずるキリスト教徒に滅ぼされ、終着点であった、アイルランドに僅か残っているに過ぎません。
しかも五世紀にキリス ト教徒が布教を始めるとケルトの文化は次第にキリスト教に吸収されてしまいます。
マチュピチュの遺跡を残して地上から抹殺されたインカ帝国やカルタゴも同じです。
さて、ご神木の祭りとして有名な諏訪大社の御柱祭が日本にはあります。
七年に一度行われるこの祭の主役は樅の木です。
古代ケルトでも樅は、特に霊力が強いとされ魂の戦士と呼ばれました。
日本列島では、樹木を生み出した神は、スサノオノミコトとされています。
日本書紀にはスサノオノミコトが髭を抜いて日本中に撒き散らすと杉になり、胸毛を抜いて撒くとヒノキになり、眉毛はクスノキになったと記されています。
日本の伝説や巨樹 には、樹木の神話が尽きません。
二十年に一度の伊勢神宮の遷宮祭では、心の御柱になるヒノキを伐採する神事からはじめますが、特に重要とされる深夜の秘事 とされています。
日本の国民が古代から、如何に心美しく、自然を愛し、勇敢であるかは、かのH.G.ウエルズが世界文化史体系の中で賞賛していますが、かと言ってケルトやインカのように崩壊してしまはない保障はありません。
その国が如何に正しくても歴史は容赦しないのです。
戦いに負ければ国はつぶれます。
美しい日本の国は、今厳然と在るやうに見へます。果たしてそうでせうか。
一阿が長々とケルトの木の物語をしましたのは、いまよほどの危機感をもって頑張らなければ、
日本もケルトのやうになりつつあると言ひたかったからです。
(続く)
2010年03月02日
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