この女将と京都から進出してきた「おそめ」のお菊ママとの戦いは、川口松太郎が小説「夜の蝶」(昭和32)で書いて人気になりました。
それはやがて吉村公三郎監督の映画「夜の蝶」になり一世を風靡します。
まち子役が京マチ子、お菊役が山本富士子でした。
神武景気の入り口です。猫も杓子もテレビの前に釘づけになり、人はテレビに出ることを名誉と考へました。
然し小林秀雄は違っていました。テレビをクダランと言う一言で切り捨てたのです。
誰が口説いても出演は「No」です。
そこで、一計を案じたテレビ局はエスポアールのるみ子ママに口説いてもらふことにします。
小林秀雄と言へども男です。
ある日ふと訪問と言う形で彼のマンションの玄関に立ったるみ子ママの後には、テレビ局の人間やカメラマンがぞろぞろ続きました。
小林の自宅は北鎌倉でしたが、仕事の為に部屋を東京に持っていたのです。
「何だ・・・」と出て来た、小林秀雄はママから「テレビに一寸でいいから出ていただきたいの」と聞くと、「ばか。・・・・」と一言いって中へ引っ込んでしまひました。
そのとき一緒に行った金森さんは「ばか・・・・・。」に込められた小林秀雄のやさしさと達観と信念を垣間見ました。
今、このマスコミが国民を欺きミスリードしようとしています。
いやミスリードしてきたのです。
マスコミに小林秀雄の爪の垢でも煎じて飲ませたいものです。
(続く)
2010年02月23日
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